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初回クーポンはいくらまで下げられる?値引き前の採算チェック

初回クーポンの値下げを決める前に、自分の店の数字で確かめる手順をまとめます。

この記事で分かること

初回クーポンの値下げを決める前に、自分の店の数字で確かめる手順をまとめます。業界共通の「ここまでなら安全」という割引率は示しません。そうした数字は店ごとの条件で変わり、この記事では根拠になる資料を確認できていないためです。

  • 初回価格から材料などの費用と手数料を引いた、1回あたりの差引額(粗利の目安)の見方
  • 施術時間で割って、時間あたりの差引額を比べる方法
  • 再来の仮定を、どの前提でそろえるか
  • 既存の無料ツールで確かめられること、確かめられないこと

値引きは割合ではなく金額で見る

「何%引くか」から考え始めると、元の料金と費用の関係が見えなくなります。そこで、値引き後の初回価格から、その施術に実際にかかった材料などの費用と、1回ごとの手数料を引いた額を確かめます。

この記事で「粗利の目安」と呼ぶ額は、あくまで編集上の整理です。初回価格から、確認できた材料などの実費と個別の手数料を引いただけの数字で、会計上の売上総利益の定義そのものではありません。人件費、家賃などの固定費、税金、時間の価値は含みません。また、現金残高や手取り、店舗全体の利益とも別の数字です。使うのは、値引き前と値引き後の初回を同じ条件で並べて比べるときに限ります。

公式説明

中小機構のJ-Net21「価格設定の考え方」では、価格は通常、原価・需要・競合状況の3つの要素を踏まえて決められると説明されています。また、原価や自社の利益を無視して価格を下げることへの注意が述べられています。原価だけで価格を一つに決めるのではなく、需要や競合なども含めて自社に合った方法を考える、という説明です。

この資料は、サロンの初回割引について安全な割引率や実績値を示すものではありません。小売や製造業の例を、そのままサロンに当てはめることもできません。ここから言えるのは、値引きを決める前に自店の原価を確かめる、という大づかみな方向までです。

集める項目と、費用・手数料の確かめ方

施術の材料や備品と伝票を照合する説明用イラスト

計算の前に、次の項目を自店の記録から集めます。分からない項目は、0円や0%と置かず「不明」のまま残します。不明を0として計算すると、差引額が実際より大きく見えてしまうためです。

  • 値引き後の初回価格と、比べるための通常価格(税込か税抜かを決めて、全項目で統一する)
  • 1回の施術で実際に使う材料などの費用
  • 予約経路や決済で、1回ごとにかかる手数料
  • 初回の施術にかかる施術時間
  • 初回のお客様のうち再来した人の割合と、その人が何回来たか(自店に記録がある場合のみ)

以下は公式資料が説明している内容ではなく、編集上の提案です。式は次のとおりです。

初回価格 − 材料などの費用 − 1回ごとの手数料 = 1回の差引額

費用は、自店の仕入れ記録、請求書、契約書、明細などで確かめた実費を使います。感覚や他店の話で埋めません。確かめられない項目があれば未確認のまま残し、差引額は「確定していない」と扱います。同じ費用を別の項目で二重に引かないようにも注意してください。

ここは間違えやすい点です。初回価格を下げても、使う材料の量や仕入れ値は、通常は同じようには下がりません。通常価格での原価率を、値引き後の価格にそのまま掛けると、費用が価格と一緒に減ったことになり、実際より小さく見積もってしまいます。そのため費用は率ではなく、1回の施術で実際にかかった金額として確かめます。同じ内容の施術なら、値引き前も値引き後も材料の実費は同じ、という前提で比べます。クーポンの内容を変えて施術の中身を減らす場合は、その分の実費を別に確かめてください。

手数料も、予約サイトや決済サービスなど使っているものごとに条件が違います。この記事では料率や金額を示しません。自店の契約内容や実際の請求、明細で、何に対して、いつ、いくらかかっているかを確認してください。

注意したいのは掲載費の扱いです。このサイトの無料ツールは、月の掲載費をその月の新規ネット予約の人数に割り当てて、新規客1人あたりの費用を見ています。これは掲載費をすべて新規客の獲得に割り当てる目安であり、施術ごとにかかる手数料そのものではありません。どちらの考え方で数えたかを分けて記録し、二重に数えたり漏らしたりしないようにします。

施術時間あたりの差引額と、再来の仮定

施術前後の準備や片付けと時間の範囲を確かめる説明用イラスト

1回の差引額を施術時間で割ると、時間あたりの差引額が出ます。

1回の差引額 ÷ 施術時間(時間)= 1時間あたりの差引額

値引き前と値引き後を並べて比べます。金額が近く見えても、施術時間が長ければ時間あたりの額は小さくなります。個人や少人数のサロンでは1日に受けられる枠が限られるため、安い初回で枠が埋まると、通常料金のお客様を受けられなくなることもあります。その点も合わせて考えます。施術時間に準備、片付け、カウンセリング、会計を含めるかどうかは先に決め、値引き前と後で同じ範囲にそろえてください。

次に再来です。初回の差引額が小さくても、その後に来店が続けば、お客様1人あたりの累積の粗利は変わります。ただし、これは将来の来店を含む仮定です。当月の入金やすでに得た実績ではありません。初回の不足を、将来の再来で必ず取り戻せるとは考えないでください。再来を考えるときは、次の点をそろえます。

  • 同じ新規客のグループについて、同じ観察期間で数える
  • 再来した人の割合と、再来した人が何回来たかを、同じグループで測る

自店に記録がなければ、再来の仮定は不明のままにします。他店の数字や一般的な数字で埋めることはしません。再来が不明のあいだは、再来を見込まずに、初回単独の差引額と時間あたりの差引額がどうなるかを確認するところから始める方法があります。これは編集上の提案で、再来を入れた場合の結果を保証するものではありません。

2回目以降の価格を初回と別に決める場合は、その価格での差引額を初回とは別に計算します。2回目以降の料金を先に決めて、初回のときにお客様へ伝えられるようにしておく進め方もあります。

粗利と利益は違う数字、税込と税抜はそろえる

公式説明

中小機構のJ-Net21「損益計画の書き方」では、売上高から売上原価を引いたものを売上総利益として説明しています。別の資料「損益分岐点を使った目標売上高」では、固定費を、売上にかかわらず一定にかかる費用として説明しています。売上総利益と、さらに販売費や一般管理費などを引いた後の利益は、段階が違うものとして扱われています。

上で出した差引額は、この考え方を参考にした目安にすぎません。会計上の売上総利益と同じものとは言えず、店全体の最終利益でもありません。差引額がプラスでも、人件費や家賃などの固定費を含めると店全体では足りないことがあります。費用の分類は店ごとに異なるため、科目の名前だけで自店の費用の位置づけを決めず、必要な費用が分からないうちは値引きの下限を確定させないでください。

計算に使う価格は、税込か税抜のどちらかにそろえます。価格と費用で基準が混ざると、差引額がずれます。どちらの基準を使うかは店の消費税の扱いに関わるため、迷う場合は税理士などの専門家に確認してください。この記事では個別の税務の判断はしません。

公式説明

国税庁のタックスアンサーNo.6902「『総額表示』の義務付け」では、事業者が消費者にあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額を含めた価格(税込価格)で表示する制度が説明されています。価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は対象外とされています。

これはお客様向けに価格を表示するときの制度の説明で、計算の基準を税込にするか税抜にするかとは別の話です。混同しないでください。また、この資料だけで各店の課税区分や納税額、経費の扱いを判断することはできません。

既存の無料ツールでできること、できないこと

このサイトの無料ツールには、新規客1人あたりの粗利や、掲載費と比べる目安を出すものがあります。仕組みの前提は次のとおりです。

  • 客単価と原価率が、各来店で一定という前提で計算します
  • 初回価格と再来時の価格を別々に入れる欄はありません
  • 手数料や施術時間を独立して入れる欄はありません
  • 人件費、固定費、税、時間の価値は含みません

そのため、初回と再来で価格が異なる場合の採算や、安全な割引の下限を、ツールが直接算出するわけではありません。ツールは、再来を含めた累積粗利の目安や掲載費との関係を見る補助として使い、値引き後の1回の差引額と時間あたりの差引額は、この記事の手順で別に確かめてください。

数字の整理に時間が取れない、記録が整っていないといった場合は、会計や経営の専門家、または支援サービスに頼むのも一つの方法です。有料の支援が一律に不要というわけではありません。頼む前に、引き受けてもらえる範囲、総額と追加費用の有無、自店の数字と記録をどこまで見てもらえるかを確かめておくと判断しやすくなります。

値引き前の確認リスト

  • □ 価格を税込か税抜のどちらかにそろえた
  • □ 材料などの費用を、率ではなく実費の金額で確かめた
  • □ 材料費などを二重に引いていない
  • □ 手数料を、自店の契約や請求で確かめた
  • □ 施術時間の範囲を決め、値引き前後で同じにした
  • □ 値引き後の1回の差引額と、1時間あたりの差引額を出した
  • □ 再来の数字は、同じ新規客グループと同じ観察期間で数えた
  • □ 不明な項目を、0円や0%として扱っていない
  • □ 2回目以降の料金を、先に決めて伝えられる状態にした

訂正の履歴

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