自分でやる

HPBのクーポン・メニュー、組み立て方

誰のためのクーポンか、何が含まれるか、税込でいくらか、追加料金や条件は何か。値引きの幅を業界の相場で決めず、自分の店の原価と施術時間から考えて組み立てる手順です。

この記事で分かること

ホットペッパービューティー(以下、HPB)のクーポン・メニューを、自分で組み立て直す手順です。

  • 今のクーポン・メニューを一覧にして、抜けや重なりを見つけられる
  • 1つのクーポンに書いておきたいこと(誰向けか、提供する内容、税込の料金、追加料金、条件)が分かる
  • 値引きの幅を、自分の店の原価と施術時間から考えられる
  • 表示の決まり(税込の表示、「通常価格」と並べるときの注意など)で気をつけたいことが分かる

先にやること

今のクーポン・メニューを一覧にする

今載っているクーポン・メニューを、1つずつ次の項目で書き出します。紙でも表計算でもかまいません。

  • 名前
  • 誰向けか(初めての人・2回目以降の人・全員など)
  • 含まれる内容と、施術の時間
  • 税込の料金
  • 追加料金と条件(曜日・時間・有効期限・ほかのクーポンとの併用など)

書き出したら、次の点を確かめます。

  • 似た内容のクーポンが並んで、違いが分かりにくくなっていないか
  • 2回目以降の人が選べるクーポン・メニューがあるか
  • 終わったキャンペーンや、今は出していないメニューが残っていないか
  • 予約したくても、予約できる枠がほとんどない状態になっていないか

公式説明

HPBを運営するリクルートの学習サイト「ホットペッパービューティーアカデミー」の連載記事「HOT PEPPER Beautyの集客効果を上げるには?」では、予約につながっているかを見る段階の確認点として、クーポンの設定と、サロンボード(予約の管理などに使う掲載店向けのシステム)の設定を挙げています。例として、リピーター向けのクーポンが少ないこと、同じ組み合わせのクーポンばかりで選択肢が少ないこと、日時やスタイリストを限定したクーポン、設定漏れがないか、予約の画面で「×」(予約できない表示)ばかりになっていないかに触れています。同じサイトでは、クーポン・予約設定の見直しを扱う動画も案内されています。

手順

1. 誰のためのクーポンかを決める

クーポンごとに、誰に選んでほしいかを決めます。

  • 初めての人向け:店を試してもらうためのもの。
  • 2回目以降の人向け:続けて来てもらうためのもの。初めての人向けばかりだと、2回目の人が選べるものがなくなります。
  • 全員向け:初めての人も2回目以降の人も選べる、いつものメニュー。

対象は、クーポンの名前や本文でもはっきり書きます。「初めての方」「2回目以降の方」のように、読む人が自分のことだと分かる言い方にします。

2. 提供する内容を具体的に書く

1つのクーポンに、次のことを書きます。

  • 含まれるもの:施術の範囲(たとえば、オフが含まれるか、デザインの本数、長さの範囲)と、施術の時間。
  • 含まれないもの:よく聞かれる追加の内容を、あらかじめ「含まれません」と書いておく。
  • 似たクーポンとの違い:「AとBの違いは何か」を1文で言えるようにする。言えなければ、まとめるか、名前と内容を変える。

経験則

クーポンの名前だけで違いが分からないと、どれを選べばよいか迷う人が出るかもしれません。名前に「誰向けか」と「何が入っているか」を入れ、本文で「含まれないもの」まで書いておくと、来店してからの説明の手間も減らせます。どこまで書くとよいかは、店とお客さまによって違います。

3. 料金は税込で書く

公式説明

国税庁は、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付ける「総額表示」について説明しています。表示の媒体は問わないとし、表示の例として「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」などを挙げています。

自分の店がこの義務の対象になるかなど、詳しいことは国税庁の案内で確かめてください。義務の対象かどうかにかかわらず、お客さまが実際に払う額を税込で示しておくと、来店してから「思っていた金額と違う」となりにくくなります。HPBの料金欄の書き方は、掲載店向けの案内で確かめてください。

4. 追加料金と条件を、クーポンの中に書く

追加料金:かかることがあるものは、何をするといくら(税込)かかるかを書きます。

  • 長さや量による追加(たとえば、髪の長さ、まつげの本数)
  • デザインやパーツの追加
  • オフや付け替え(ほかの店で施術したものを含むか)
  • 指名、時間外の受付など

条件:クーポンを使える条件を書きます。

  • 誰が使えるか(初めての人だけ、など)
  • 使える曜日・時間帯、有効期限
  • ほかのクーポンや割引と一緒に使えるか
  • 予約のときに伝えてほしいこと

公式説明

消費者庁は、景品表示法で、価格などの取引条件について、実際のものより取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(有利誤認表示)を禁止していると説明しています。

追加料金がかかることが多いのに書いていないと、お客さまには実際より安く見えてしまいます。クーポンの料金だけで来店を決めた人が、会計で驚くことのないように書いておきます。

5. 「通常価格」と並べるときは、根拠を残す

「通常7,000円 → 5,600円」のように、ほかの料金と並べて安さを示す書き方をするときは注意します。

公式説明

消費者庁は、二重価格表示(実際の販売価格に、それより高い比較対照価格を並べる表示)について、同じ商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比べる価格にする場合は不当表示に該当するおそれはないとしています。一方で、比べる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示をする場合などは、不当表示に該当するおそれがあると説明しています。

  • 「通常〇〇円」と書くなら、その料金で実際に提供していた期間と、その記録を残しておく。
  • 実際にその料金で提供したことがない額を「通常価格」にしない。
  • 根拠に迷ったら、ほかの料金と並べずに、クーポンの料金だけを書く。

6. 値引きの幅は、自分の店の数字で決める

値引きの幅を、業界の相場やほかの店に合わせて決めることはしません。この記事では、出所を確かめた業界の平均値や相場を使っていないため、比べる相手にしません。代わりに、自分の店の原価・施術時間・提供する内容から考えます。

  1. 通常の料金、材料費など、施術の時間を書く。
  2. 値引き後の1回の粗利を出す:1回の粗利 = 料金 − 材料費など。
  3. 1時間あたりの粗利を出す:1回の粗利 ÷ 施術の時間(時間)。値引き前と後を並べます。
  4. 続けられるか考える:その金額で予約が入ったとき、1日の予約枠や、ほかのお客さまの予約が取れなくならないか、自分の体力が持つかを考える。
  5. 2回目の料金を先に決める:初回だけ値引きするなら、2回目からの料金とクーポンを決めて、初回のときに伝えられるようにしておく。

計算に使う料金は、税込か税抜のどちらかにそろえます。どちらで計算すると手元に残る額に近くなるかは、店の消費税の扱いによって変わるため、迷ったら税理士などに確かめてください。

説明用の例

説明のために作った数字で、目安や平均ではありません。計算を簡単にするため、税込の料金のまま計算しています。通常7,000円(税込)、材料費などが700円、施術の時間が90分のメニューを、初めての人向けに5,600円(税込)にする場合を考えます。1回の粗利は、通常が 7,000 − 700 = 6,300円、値引き後が 5,600 − 700 = 4,900円です。1時間あたりの粗利は、通常が 6,300 ÷ 1.5 = 4,200円、値引き後が 4,900 ÷ 1.5 = 約3,267円です。

初めての人向けの値引きは、その人が2回目以降も来てくれるかと合わせて考えます。再来を含めた新規1人あたりの粗利は、計算ツール「どこを伸ばすと売上が伸びる?」で試算できます。記事の最後の「関連する記事とツール」から開けます。

例

説明用の例

説明のために作った例です。実在の店のクーポンではなく、予約が増えるなどの効果を示すものでもありません。直す前のクーポンは、名前が「新規ジェルネイル」、料金が「5,600円」だけでした。直した後は、名前を「初めての方・ワンカラージェル(オフなし・60分)」、料金を「5,600円(税込)」にし、本文に「長さ出し・パーツの追加は1本ごとに330円(税込)」「ほかの店のジェルのオフは1,100円(税込)」「平日のみ」「有効期限:〇月〇日まで」と書き足しました。

説明用の例

説明のために作った例です。似たクーポンを見直すときのメモです。

  • 「ワンカラー」と「シンプルデザイン」の違いを1文で言えなかった。内容を比べたら、違いはパーツの数だけだった。
  • 「シンプルデザイン」に「パーツ2個まで」と書き足し、名前にも入れる。
  • 2回目以降の人が選べるクーポンがなかったので、いつものメニューとして「2回目以降の方・付け替え」を作る。料金は、1時間あたりの粗利を出してから決める。

やってはいけないこと

  • 効果を約束する言葉を使う:「必ず」「誰でも」「〇日で」など、根拠を示せない効果をうたう表現は使わない。施術の効果を、医療のように見せる表現も避ける。
  • 根拠のない「通常価格」と並べる:実際にその料金で提供していなかった額と並べない。
  • 税抜の料金だけを書く、追加料金を書かない:お客さまが実際に払う額が分からなくなります。
  • ほかの店のクーポン文をそのまま写す:参考にするのは、書く項目や考え方までにとどめる。
  • 掲載ルールを確かめずに載せる:HPBの掲載ルールは、この記事を書いた時点では、一般に公開された資料で確認できませんでした。掲載店向けに案内されている資料や、担当の窓口で確かめてください。

公式説明

消費者庁は、景品表示法で、商品・サービスの内容について実際のものより著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)を禁止していると説明しています。効果や性能の表示については、消費者庁長官が、事業者に裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる、とも説明しています。

かかる時間

作業は次のように分かれます。

  1. 今のクーポン・メニューの一覧づくり
  2. 原価・施術時間から、1回の粗利と1時間あたりの粗利を出す
  3. クーポンの名前・内容・料金・追加料金・条件の書き直し
  4. 掲載ページへの反映と、予約の画面での見え方の確認
  5. 前と後の比較。直した後の1か月を見るため、直してから比べられるまでに1か月ほどかかります。

頼む価値がある場合

次のような場合は、外部の支援を頼む価値があります。

  • クーポン・メニューの数が多く、整理する時間が取れない
  • 文章を書くのが苦手で、言い回しを整えてほしい
  • 季節ごとの入れ替えなど、定期的な見直しを任せたい

頼む前に、自分の店の原価と施術時間から、1回の粗利と1時間あたりの粗利を出しておくと、値引きの提案を受けたときに、続けられる金額かどうかを判断できます。あわせて、支払いの総額、支援の範囲(クーポンの文章を作るだけか、掲載ページへの入力や入れ替えまでか、何回までか)、期間、解約の条件を確かめておきます。確かめ方は「LINEの無料プレゼント、そのあと何がある?」の記事にまとめています。

次に読む記事・使うツール

  • 全体の見直しの順番を確かめるなら:「HPBの掲載ページ、自分で見直す順番」
  • クーポンに合わせて写真も見直すなら:「HPBの掲載写真、選び方と並べ方」
  • 値引きと再来を含めた粗利を試算するなら:計算ツール「どこを伸ばすと売上が伸びる?」
  • 作業を外に頼むか考えているなら:「LINEの無料プレゼント、そのあと何がある?」

いずれも、記事の最後の「関連する記事とツール」から開けます。

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